多くのJTCでは、3年に一度くらいの頻度で「中期経営計画」を作っていると思います。
売上目標、利益目標、重点戦略、新規事業、人材戦略、DX。
立派な言葉を並べ、数年後の会社の姿を描く。
でも私は、以前からずっと思っていました。
この中期経営計画、本当にそんなに意味があるのでしょうか。
私自身、海外駐在をしていたとき、現地法人の一部門ではありますが、中期経営計画の策定に携わったことがあります。
では、3年前に作った中計の内容を覚えているか。
正直、一つも覚えていません。
そして、その中計に沿って日々のビジネスを動かした記憶も、ほとんどありません。
おそらく、これが多くの会社の実態ではないでしょうか。
問題は「中計を作ること」ではなく、そこにかける時間
30分や1時間で作れるのであれば、別に作っておけばいいと思います。
問題は、JTCの中期経営計画はそんな軽いものではないことです。
場合によっては1年前から準備が始まり、本社の企画部門を中心に、営業、財務、人事、各事業部門など大量の社員が巻き込まれます。
何度も会議をする。
資料を作る。
数字を直す。
役員に説明する。
社長からコメントが入り、また作り直す。
そうして何か月、場合によっては1年近くかけて、ようやく完成します。
ここまで大量の時間を投下する価値が本当にあるのか。
私はかなり疑問です。
むしろ、壮大な社内イベントになっているだけではないかと思うことすらあります。
JTCの真面目な社員ほど、中計で消耗する
さらに厄介なのが、JTCには「言われた仕事は100%の完成度で仕上げる」という非常に真面目な社員が多いことです。
中計策定となれば、細かい数字まで詰め、表現を何度も修正し、経営陣から突っ込まれない資料を作ろうとします。
その結果、本来の仕事そっちのけで中計資料を作り続ける。
人によっては、追い詰められるほど働いていることもあります。
でも、数年後には誰もその資料を見ていない。
これほど虚しい仕事もありません。
私は中計に関わるときほど、「どうやったら最小限の労力で終わらせられるか」を考えるようにしていました。
もちろん会社から求められている以上、作る必要はあります。
ただ、必要以上に魂を込めるものではないと思っています。
3年後なんて、誰にも分からない
そもそも、今の時代に3年後を正確に予測すること自体がかなり難しくなっています。
生成AIの進化だけを見ても、この数年で仕事のやり方は大きく変わりました。
技術、金利、為替、地政学、競争環境。
何が起こるか分かりません。
そんな中で、3年後の市場環境を細かく予測し、売上や利益まで積み上げていくことに、どれほど意味があるのでしょうか。
もちろん、大きな方向性は必要です。
「どの市場で戦うのか」
「どんな会社になりたいのか」
「何に投資するのか」
この程度の方針は必要だと思います。
でも、それ以上に細かい3年間のロードマップを作り込み、その通りに進めようとする必要はないと思います。
3年後より、まず今年をやり切る
私は、企業経営ももっとシンプルでいいと思っています。
まず、今の仕事をやり切る。
今年の課題を解決する。
来年何をするべきかをしっかり考える。
そして、環境が変わったら柔軟に方向転換する。
その繰り返しで十分ではないでしょうか。
最近では、中期経営計画そのものを廃止したり、従来型の3か年計画を見直したりする企業も出てきています。
個人的には、とても合理的な流れだと思います。
経営に必要なのは、きれいな3年計画を作ることではありません。
変化に応じて意思決定し、実行することです。
中期経営計画を作ることが仕事になってしまった瞬間、それは戦略ではなく、ただの社内行事です。
JTCには、そんな「やっていること自体が目的になっている仕事」がまだまだ多く残っています。
中期経営計画は、その代表例の一つではないかと思っています。

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