海外駐在をしていると、定期的に本社から社長や会長など、いわゆる「偉い人」が出張に来ます。
現地のお客様企業のトップと会食をしたり、そこに駐在員として同席させてもらったりする機会もあります。
そういう場に何度か参加して感じるのは、
やっぱり大企業のトップまで登り詰める人は、人として魅力的な人が多い
ということです。
もちろん全員を知っているわけではありませんが、実際に話してみると、偉そうに振る舞うわけでもなく、話も面白い。相手への気遣いもある。
単純に、「この人はすごいな」と思うことが多いです。
大企業という巨大な組織の中で、何十年も競争を勝ち抜いてトップまで行くわけですから、人間的な魅力やバランス感覚がなければ、なかなかそこまでは行けないのだろうと思います。
ただ、その姿を見て、
「自分もこうなりたいか?」
と考えると、答えは少し違いました。
トップになれば、付き合う相手も当然ながら大企業のトップになります。
会食でも、
「あの会社の社長とは昔から知り合いで」
「○○君はいま頑張っている」
「この前、○○さんと一緒になって」
そんな話が自然と増えていきます。
立場が上がれば上がるほど、仕事だけではなく、財界活動や社外活動も増えていく。
話を聞いていると、本人だけでなく、奥様もそうした付き合いに参加することがあるそうです。
もちろん、それが好きな人にとっては素晴らしい世界だと思います。
でも、自分はどうだろう。
70歳近くになっても会社のトップとして走り続け、社外の付き合いを続ける。
妻にもそうした世界の付き合いをしてもらう。
それが自分たち夫婦の望んでいる人生かと言われると、たぶん違います。
これは決して大企業のトップを否定したいわけではありません。
むしろ、実際に会うと尊敬する人ばかりです。
だからこそ、
「すごい人」と「自分がなりたい人」は別なんだ
と気づきました。
自分はたぶん、肩書きのある人たちと立派な話をしている時間よりも、昔からの友達と何の役にも立たない話をしている時間の方が好きです。
誰が偉くなったとか、誰と知り合いだとかではなく、
昔のくだらない話をして、同じ話を何度もして、バカみたいに笑う。
その方が、自分にとっては豊かな時間です。
会社員を続けていると、無意識のうちに「上に行くこと」が正解のように感じることがあります。
課長になり、部長になり、役員になり、その先へ。
でも、上の世界を実際に見ることができたからこそ、
「ここまで行かなくてもいい」
と思えるようになりました。
自分が欲しいのは、肩書きではなく、自分の好きな人と、自分の好きな時間を過ごせる人生なのだと思います。
海外駐在で偉い人たちを間近で見られたことは、ある意味、自分が目指さない人生を確認できた貴重な経験でした。

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